しまごろうの家

しまごろうの家

むかしむかしずっと遠くの南のしまに、ちいさな家がありました。それは、縁側と屋根だけがおおきい小さなかわいい家でした。じょうぶなしっかりとした家でした。このうちを建てた人は、いいました。

「家はちいさいけど、おおきな屋根は、大雨からも、大風からも、真夏のかんかん照りの日差しからもみんなを守ってくれる」

「おおきな縁側は、みんなで話しができる。みんなでごちそうが食べられる。みんなで酒が飲める。みんなで歌がうたえる。みんなでおどれる。孫の孫の代までずっとここで大酒を飲むだろうなあ」 この小さな家をたてた人は「しまごろう」といいました。

しまごろうに、女の子が生まれました。ちいさなかわいい女の子でした。みんながあつまります。みんながそれぞれごちそうをもってあつまります。みんなでお祝いの歌をうたいます。みんなでごちそうをたべます。みんなでお酒をのみます。みんなで踊ります。まぶしいくらいの満天の星空になっても終わりそうにありません。

それを小さな家は、全部みていました。にこにこしながらみていました。
次は、男の子が生まれました。その後にも二人も男の子が生まれました。その度にみんながあつまります。みんなでお祝いします。みんなでお酒をのみます。みんなでおどります。
手につかめるくらいの満天の星空になっても終わりません。
それをちいさな家は、全部みていました。にこにこしながらみていました。
月日が過ぎてしまごろうのお母さんがしにました。

みんながあつまりました。みんなでおくる歌をうたいました。みんながたくさんお酒をのみました。それは、あふれんばかりの満天の星空になっても、終わりません。

それをちいさな家は、全部みていました。にこにこしながらみていました。
また月日が過ぎて、しまごろうの奥さんの目が見えなくなりました。しまごろうは看病しました。みんながあつまりました。みんなで子供達の面倒をみました。満天の星空を四百回かぞえて、目が見えるようになりました。ちいさな家は、全部みていました。

にこにこしながらみていました。

子供達がおおきくなりました。しまごろうの言う事をきかなくなりました。しまごろうの子供が茶碗をなげつけました。

ちいさな家の柱にあたりました。大きなキズがつきました。
しまごろうは、子供をなげとばしました。

ちいさな家の壁にあたりました。壁に大きなお月さまのような穴があきました。みんながあつまりました。みんなでなおしました。みんなで話しをしました。みんながどこも同じだと言う事を聞いて、しまごろうは安心しました。
みんなでお酒を飲みました。
それはお盆のようなお月さまがでても終わりません。ちいさな家は、全部みていました。おなかの中が痛かったけど、小さな家はにこにこしながらみていました。

子供達がもっとおおきくなりました。順番にちいさな家から出ていきました。みんながあつまりました。みんなで見送りました。ちいさな家は、全部みていました。

ちいさな家はちいさな声で
「キバリヨー」
と満天の星空につぶやきました。
子供達が子供をつれてかえってくるようになりました。しまごろうは、喜びました。ちいさな家も喜びました。みんながあつまり喜びました。みんなでお祝いします。みんなでごちそうをもちよります。みんなでお酒をのみます。みんなでうたいます。みんなでおどります。満天の星空になってもおわりません。それをちいさな家は、全部みていました。にこにこしながらみていました。

しまごろうが、きらめく満天の星空をみながら、奥さんに話しかけました。

「お前も俺もこの家もキズだらけやなあ。苦労かけたなあ。楽しい事もたくさんあったなあ。いろんな事があったなあ。雨の日も風の日も日照りの時も、悲しい時もつらい時もいつも耐えてくれて本当に本当にありがとうなあ。世は次々やなあ。自分らの子供や孫たちが、道に迷ったり、間違えたり、悲しんだり、落ち込んだりした時は、家のキズを見せてやってくれ。何かを取り戻すやろうやろうたい。」

ちいさな家は、全部聞いていました。世は次々ってなんだろうなあと想いながら聞いていました。

ほどなくしてしまごろうは、しにました。庭に奥さんの大好きな花をたくさん咲かせてしにました。ちいさな家は、全部みていました。

ちいさな家に子供達と孫とひ孫もあつまりました。そしてみんなもあつまりました。ちいさな家はいっぱいの人であふれています。いっぱいの花があふれています。いっぱいの声があふれています。しまごろうとそっくりな孫たちでいっぱいです。ちいさな家が出来た時よりたくさんの人が集まりましたちいさな家は、しまごろうの言った事をおもいだしました。みんなに聞こえるように、

柱を
「みしっ」
壁を
「ばこっ」
床を
「ぴきっ」と鳴らしました。

みんなが音の方向を振り向くとキズのひとつひとつが、しまごろうと過ごした時の想いでのキズでした。ひとりは、うなずき、ひとりはじっとみつめ、ひとりは、ものおもいにふけり、ひとりは、笑いだしました。「しまごろうは、酒がすきやったから、きょうは、みんなで飲まんばや」みんなでごちそうをもちよりました。みんなでお酒をのみました。みんなでうたいました。みんなでおどりました。ものすごく近い満天の星空になっても終わりません。それをちいさい家は、全部みていました。しまごろうとにこにこしながらみていました。

おわり

この物語は、私の実家(種子島)をモデルに制作いたしました。つたない文章で申し訳ありませんが、私の家創りの原点をみなさんに知って頂きたく発表いたしました。
しまごろうは、私の亡父(孝男)です。父が戦後18歳の時に、自分で山を開拓し、木を切り出し大工のみよう見真似で自分で建てたといつも言っていた事を思いだしながら書きました。私も福岡に出てきて28年になりました。私が島にかえるたびに、この家のキズをみて励まされます。家をつくると言う事は、たくさんの子供達の故郷をつくることだとおもいます。都会に出て行った子供達が、安心して帰れるあったかい場所を末永くつくっていこうと思います。

原作 セイケンハウス株式会社
代表取締役 西田雄三

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