~記憶で繋がる~
セイケンハウスのお家にはリビングに吹き抜けがあることが多いです。
理由としては、吹き抜けを通してお家の中に繋がりを持たせて、家族がどこにいても
お互いにその存在を感じあえることで『家族の繋がり』を感じることが出来るから。
また、奥様がキッチンで家事をこなしながら二階で遊ぶ子供達とも会話が出来たり、吹き抜けによって生まれる開放的な空間のリビングには自然と家族が集まってきたり。
こうして皆で楽しくお互いの存在を感じ合いながら生活出来るお家だから『家族の繋がり』が生まれると思うのです。
ただ、希にですが、吹き抜けがあると「音が響くのが嫌」「料理の匂いが気になる」「「空調が心配・・」 といった理由で敬遠される方がいるのも事実です。
そんな時には自分でもお客様にどうお勧めしていいものかよく分からない時がありました。
でも、先日ある出来事がきっかけで自分の中に確信的な思いが生まれたんです。
そのきっかけとは ・ ・
個人的な話になるのですが先日、無性に「がめ煮」が食べたくなりまして (笑)
福岡の方ならご存じですよね。
鶏肉と根菜などを煮込んだ郷土料理です。
いそいそとスーパーに出かけ食材を買い込み調理開始。
材料を全て切り終え、鍋の中でコトコト煮込んでいくわけですけど、出来上がるまでの間
がめ煮の炊ける匂いが充満するリビングで、ぼんやりとテレビを見ていたら。
何やらふっと、懐かしい記憶がこみ上げてきました・・
もう40年近くも前の記憶なんですけども、僕の母親というのが戦前の生まれで、家で出てくる料理と言えば大概が煮物と煮魚ばかり・・ 小学生のころはそれが嫌でした・・(笑)
学校から帰ってきて、居間のこたつでテレビを見ていると台所から母の料理をする音が聞こえてくるわけです。
「トントントントン」小気味良い包丁とまな板の音と煮物のお出汁の効いた醤油にみりんの混ざった何とも言えない甘い香りが家中に満たされていく。
小学生だった当時はテレビを見ながら「今日も煮物かよ~」と少しがっかりしていたのを覚えています(笑)
その時の気持ちというか光景が、頭の中でパッと鮮やかに蘇って来たんですよね。
ほんと一瞬というか・・ 瞬間的な出来事なんですけど、なんとも懐かしくてその瞬間、僕の中で現在と子供の頃の自分が確かに『繋がった』と思うのです。
当時は嫌で仕方なかったその光景が、今ではすごく懐かしく心地よく感じるという・・
少し不思議ですよね。
それは「匂いの記憶」や「音の記憶」といったものが今でも心の中に残っていて、離れて暮らす実家の家族と僕を繋げてくれているからかなと思います。
音も匂いも家中筒抜けで居間も6畳しかない小さなお家だったですけど、居間のこたつに家族皆で集まって、いつも賑やかで温かな家でした。
その家の記憶というが40年近くたった今でも僕の中に存在していて、遠く離れて住んでいても、ふとした瞬間に家族の『繋がり』を感じることが出来る・・
うまくお伝えすることが出来ないのですが、普段の生活の中で「音が響くこと」「匂いがする事」これはすごく良い事なんじゃないかと思えてくるのです。
生活感のないシンプルでお洒落なお家も格好良いと思いますが、生活感に溢れ、「音」「匂い」「触り」といった目には見えないけれど、住まう人の五感に優しく訴えかけ、その記憶にいつまでも残るお家というのが本当に素敵なお家なんじゃないかと思えてきたんです。
これから正月休みに入り帰省する方も多いかと思われますが一度、ご自分が育った実家の「匂い」「音」「手触り」といったものを意識してみませんか?
もしかするとそこには家族の『繋がり』を生む本当に素敵なお家のヒントが沢山あるかもしれません。